はじめに
こんにちわ、爪川です
今回は2019年に日本で行われたラグビーW杯での頭の怪我や脳振盪に関しての統計をまとめた論文があったので、それを見ていきたいと思います
2019年ラグビーW杯での頭部外傷 統計
頭部外傷の統計
試合数:45試合
頭部外傷発生件数:68件
HIA(Head Injury Assessment)が実施された件数:36件
HIAの結果、脳振盪と判断された件数:23件
頭部外傷が起きた時の動作
タックラーが受傷:29件
→うち20件にHIA実施→11件が脳振盪判断
ボールキャリアーが受傷:29件
→うち8件にHIA実施→6件が脳振盪判断
ラックにて受傷:4件
→うち2件にHIA実施→1件が脳振盪判断
空中での衝突で受傷:3件
→うち3件にHIA実施→2件が脳振盪判断
モールにて受傷:1件
→うち1件にHIA実施→1件が脳振盪判断
チャージにて受傷:1件
→うち1件にHIA実施→1件が脳振盪判断
不明:1件
→うち1件にHIA実施→うち1件が脳振盪判断
反則によって頭部外傷が起きた件数
タックラーが受傷:3件(10.3%)
ボールキャリアーが受傷:17件(58.6%)
ラックにて受傷:1件(25%)
空中での衝突で受傷:0件
モールにて受傷:0件
チャージにて受傷:1件(100%)
不明:0件
過去のラグビーW杯との比較
頭部外傷発生率
前回大会(2015年)より増加
2007年大会より増加傾向
脳振盪発生率
前回大会より減少
2007年大会より増加傾向
前回大会と今回のHIAに関しての比較
前回:HIA実施39件→うち脳振盪判断19件
今回:HIA実施36件→うち脳振盪判断23件
※HIAは2015年大会から実施。
まとめ
ラグビーW杯(エリートレベルの試合)では平均1試合に1回以上の頭部外傷が起きており、その件数は大会を重ねるごとに増加傾向にあります
ただし頭部外傷や脳振盪の発生件数の増加は、単純に増えている可能性もありますが、今までは見過ごしていた件数をビデオ撮影やメディカルスタッフのおかげで取りこぼさなくなっている可能性もあります
頭部外傷の発生に最も大きく関与しているのがタックルが起きるシチュエーションです
タックルのシチュエーションでは、タックラーもボールキャリアーも同じ件数で頭部外傷が発生しています
ただし、タックラーが受傷する場合には反則が発生していない場合が多く、これはタックルのテクニック(逆ヘッドタックルになってしまう)や相手に反応しきれなかった事などが関わっているのではないかと思われます
逆にボールキャリアーが頭部外傷を受傷する場合、その発生件数の半分以上で反則が起きているので、ここは何かしらの対策が取られていくのではないかと思います
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