こんにちわ、爪川です
脳振盪を受傷すると、実はその後のスポーツ活動中に下半身の怪我の発生率が上がるのではないかという報告がされています(それに関しての記事はこちら↓)
このような研究はスポーツ選手を対象にしていますが、今回の研究では一般の方を対象に、脳振盪後では下半身の捻挫のリスクがどう変わるのかを探っています
脳振盪後の下半身の捻挫のリスク:一般人を対象とした研究
今回の研究の特徴としては大きく2つあり、1つ目は一般の方を対象としていること、そして2つ目はその被験者数が非常に多いことです
この研究では脳振盪受傷者と非受傷者を比較していますが、脳振盪受傷者は97,708名も含まれています
この膨大な数はTriNetXというグローバルリサーチネットワークというシステムを介してのようですが、個人的にはこういったネットワークがあることは初めて知ったので、研究結果よりもこちらの方が驚きでした
さて、本題に戻ってこの研究の結論からお伝えすると
「一般の方でも脳振盪後では下半身の捻挫のリスクは上昇する」
という事が示唆されています
この研究では下半身の捻挫でも前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯、足首の靭帯(足首は総称)の発生率からそのリスクを調べています
ここからもう少し詳しく研究概要と結果を見ていきます
研究概要
- 被験者は10-60歳で2018年1月1日〜2020年12月31日の間に救急外来を受診し、TriNetXにデータがある者
- この被験者を初診時の脳振盪の診断の有無で2グループに分ける(脳振盪有り、脳振盪無し)
- 2022年1月11日に再度TriNetXからデータを取得し、初診時から12ヶ月以内の下半身の捻挫の発生率を調査
- 下半身の捻挫は前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯、足首の靭帯(総称)の5つを調査
結果
- 脳振盪有りの被験者数:97,708名
- 脳振盪無しの被験者数:16,598,191名
- 上記の脳振盪無しの被験者に対して傾向スコア・マッチングを行い、脳振盪有りの被験者と同数の97,708名のデータを抽出して両グループを比較
- 5つの捻挫のうち、後十字靭帯、内側側副靭帯、外側側副靭帯、足首の捻挫は脳振盪有り群の方がリスク比が有意に高くなった
- 前十字靭帯リスク比:1.035
- 後十字靭帯リスク比:1.79
- 内側側副靭帯リスク比:2.355
- 外側側副靭帯リスク比:2.202
- 足首の捻挫:2.265
まとめ
今回のまとめです!
- 脳振盪後ではスポーツ活動中に下半身の怪我の発生リスクが上がると報告されているが、今回の一般の方を対象とした研究でも、その傾向は同じでした
- ただし、脳振盪と診断がついた被験者の中でも、その被験者の日常活動レベルは?それが何回目の脳振盪なのか?もともと下半身の怪我をしやすい状態(既往歴がある)ではなかったのか?どういったメカニズムで脳振盪を受傷したのか?といった要素を加味すると結果が変わる可能性も否定出来ないと考えます
参照資料
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東京都文京区にてリコンディショニグ、競技復帰へのリハビリ、パーソナルトレーニング、脳振盪リハビリなどを行っています
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