こんにちわ、爪川です
今回の記事でも引き続き第6回国際スポーツ脳振盪会議での変更点について見ていきます
今日は新しく導入された「SCOAT6」についてです
SCOAT6の導入
SCOAT6とは?
SCOAT6とは「Sport Concussion Office Assessment Tool 6」の略称です
今までは主にSCAT5が脳振盪の評価に用いられてきましたが、今回の発表からはSCAT6に加えてSCOAT6も仲間入りしました
SCAT6とSCOAT6の違いは
・実施するタイミング
・実施する場所
です
SCAT6は基本的に脳振盪が発生してから72時間以内の使用が推奨されていますが、SCOAT6は反対に72時間以上経過したあとに使用します
そして実施する場所ですが、SCOAT6は「Office」という言葉が入っているように、スポーツ現場ではなく医務室や診察室のような周囲の環境や設備などが管理出来る状態で行う前提にあります
SCOAT6の目的と内容
SCOAT6の目的の1つは脳振盪後に現れるさまざまな症状を網羅的に評価することです
網羅的に評価することで機能低下している部分を早期に見つけ出し、早期の治療やリハビリ、専門家への紹介に繋げます
それ故にSCOAT6の内容はSCAT6よりも多くなります
ただし、全ての評価項目を実施するには多くの時間を要するので評価項目は①初回検査時のみ実施、②検査推奨の項目、③検査選択性の項目、これら3つのグループに分けられています
それぞれのグループに含まれる評価項目は以下となります
①初回検査時のみ実施する評価項目
- 現在の怪我に関する質問
- 頭部外傷の既往歴
- 神経的、心理的、精神的、学習的な障害の既往歴
②検査推奨の評価項目
- 現在服用している薬や自然療法の品、サプリメント等に関する質問
- 症状の評価
- 言語認知テスト(Verbal Cognitive Test)
- 10個の単語の即時記憶など
- 数字の逆唱
- 月の逆唱
- 起立性バイタルサイン(Orthostatic Vital Signs)
- 頚椎の評価
- 圧痛や可動域など
- 神経学的検査
- 脳神経の検査など
- バランスの検査
- 時間を計測するタンデム歩行
- 修正版VOMS for Concussion
- 単語の遅延想起
- 全体的な評価
- 対応とフォローアップの計画
- 画像検査の必要性
- 運転や学業復帰へのプラン
- 専門家への紹介の必要性など
- その他
③検査選択性の評価項目
- 診断済みの神経的、心理的、精神的、認知的、発達的障害の家族歴
- 言語認知テスト(Verbal Cognitive Test)
- 15個の単語の即時記憶
- バランスの検査(不安定なマットの上で実施)
- 複雑なタンデム歩行
- デュアルタスクなタンデム歩行
- 不安に関するスクリーニング(Anxiety Screen)
- うつに関するスクリーニング(Depression Screen)
- 睡眠に関するスクリーニング(Sleep Screen)
- コンピューターを用いた認知テスト
- 段階的有酸素運動テスト(Graded Aerobic Exercise test)
SCAT6と重複する項目もありますが、上記のように評価項目は多岐に渡り、脳振盪受傷者の評価を網羅的に実施できるよう設計されています。
まとめ
今回のまとめです!
・第6回国際スポーツ脳振盪会議ではSCATの最新版であるSCAT6に加えて、新しい評価ツールであるSCOAT6も発表された
・SCOAT6は脳振盪受傷後72時間経過してから使用される
・SCOAT6の評価項目は多岐に渡り、脳振盪患者を網羅的に評価出来るように設計されている
参照資料
1 https://bjsm.bmj.com/content/bjsports/57/11/651.full.pdf
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