はじめに
こんにちわ、今回は脳振盪後の長引く症状(Persisting Concussion Symptoms)と不安障害・うつ・Quality of Lifeの関係を調べた論文をご紹介します
脳振盪は適切な時期に診断やリハビリをしなければその症状が長期間残りやすいです
また、何回も脳振盪を繰り返すことも症状が長引く原因となります
私のところにも脳振盪を負ってから何年経っても症状が治りきらない方からご連絡がきます
その様な方の症状はさまざまで、頭痛やめまい、遠近感の不良、恐怖感、睡眠障害など多岐にわたります
私の推測ですが、この様に脳振盪後の症状に長期間悩まされている方は思っているよりも多いのではないかと思います
長引く脳振盪後の症状は不安障害やうつにも繋がり、またそれによって生活の質(Quality of Life)も低下させる原因となります
ですので、今回はカナダにある脳振盪クリニックが実施した研究を参考に、長期間脳振盪の症状がある患者と不安障害やうつの傾向、Quality of Lifeとの関係性を研究した論文をご紹介します
今回の研究はこちら↓
長引く脳振盪の症状と不安障害・うつ・Quality of Lifeの関係
上記でご紹介した研究では、脳振盪クリニックを受診した成人患者526名に不安障害、うつ、Quality of Lifeに関する質問表を送付し、最終的に105名の患者が研究対象となりました
質問表は「Depression and Anxiety Stress Scale -42(DASS-42)」と「World Health Organization Quality of Life Assessment-BREF(WHOQOL-BREF)」という2つです
どちらの質問表も科学的に有効で信頼性があるとされています
これらの質問表から以下のことがわかりました
105名の回答者のうち、
・37名(35.2%)が不安障害、うつ、もしくはその両方の傾向がある
・21名(20%)が不安障害とうつの両方の傾向がある
・脳振盪受傷の回数が多くなるほど、不安障害やうつの傾向が強くなる
・不安障害やうつに男女差はない
・DASS-42(不安障害やうつに関しての質問表)のスコアが悪いほど、生活の質は低下する
・不安障害とうつの両方の傾向がある患者は、その片方だけの患者よりも生活の質は低下する
まとめ
この研究で長期間脳振盪の症状がある患者ではその3割以上が不安障害やうつ、もしくはその両方の傾向があることがわかりました
論文では、長期の脳振盪患者は不安障害やうつ、生活の質などに対しての治療も必要と記述しています
もちろん、これは質問表を患者に送付してその回答を元に算出しているので、回答をしなかった患者も含めればまた違った数値になる可能性もあります
ただ、脳振盪への治療やリハビリは年々進化しているので、不安障害やうつと言った一見脳振盪とは関係なさそうなものでも適切に治療していくべきとなっていくのだろうと思います
本日も最後までお読みいただきありがとうございました
参照文献
コメント