はじめに
脳振盪は他の怪我と同じで適切なタイミングで適切な診断とリハビリが必要です
それらのタイミングがずれてしまったり、症状を放っておくなどすると長期間脳振盪の症状が続く場合もあります
脳振盪が起きた場合は何よりもまずは病院に行って医師に診察してもらいます
必要であれば画像検査(CTやMRIなど)も行うでしょう
そして脳振盪と診断が下った後は、スポーツ復帰を果たす為に適切なリハビリが必要です
脳振盪は様々な脳や体の機能に影響を与えます
それゆえ脳や体のどの機能が影響を受けているのかを適切に評価し、そして影響を受けている部分をリハビリで改善していきます
ですが脳振盪リハビリと言っても、具体的にはどのようなことを行うのでしょうか?
この記事では脳振盪に対してのリハビリを行なっている海外のクリニックを例に、どのようなことが行われるかを見ていきたいと思います
脳振盪リハビリって何するの? 海外のクリニックを参考に
ここではGoogleで「concussion rehabilitation(脳振盪 リハビリテーション)」と検索して出てきた海外にあるクリニックのホームページを参考にしていきます
いくつかのクリニックをまとめると、脳振盪に対して主に以下のようなリハビリやアプローチが行われています
運動療法
運動療法では主に有酸素運動が行われます
選手の状態に合わせてランニングマシンを用いて走ったり、またエアロバイクで心拍数を上げる場合もあります
最近では脳振盪受傷から数日経過後、症状が悪化しない程度の有酸素運動を推奨している研究機関もあります
理学療法
理学療法では身体の可動域や筋力の改善、バランス能力の向上などを行います
特に首や胸と言った箇所の硬さや姿勢の不良は脳への血流を低下させる原因にもなり、症状を長期化させる場合もあります
このような場合ではエクササイズなどを行なって可動域や筋力の改善、姿勢矯正などを行います
作業療法
脳振盪受傷者が読み書きやPC作業で症状が悪化する場合、集中力の低下などが見られる場合は作業療法士がそれらの改善のためのリハビリを行う場合もあります
また、視覚機能(目の機能)の低下の場合もエクササイズなどを行なって機能の回復を促します
この辺りは理学療法と共に密接に連携しながら行われます
言語療法
ここでは記憶・判断・認知機能の低下の改善、教室や駅など”忙しい”環境下での適応などのリハビリが行われます
前庭療法
前庭とは耳の中にある人間のバランス能力を司る組織です
この機能が低下するとめまいやふらつき、頭痛などの原因となります
理学療法や作業療法でもこの前庭機能のリハビリは行われますが、場合によっては前庭機能の専門家によって行われる場合もあります
音楽療法
脳振盪は自律神経にも影響を与えます
自律神経は交感神経と副交感神経の2つのバランスによって正常に機能しており、このバランスが崩れると睡眠障害や排便障害、食欲の増減、疲れやすい、めまい、ふらつくなどに繋がる可能性もあります
音楽療法ではこの自律神経を整える目的で、他の運動療法などと合わせて行われる場合があります
マッサージ
マッサージも音楽と同様に自律神経を整える目的で行われる場合があります
また理学療法中でも首周りのリハビリの一環として行われる時もあります
食事・栄養
最近では脳と腸の密接な関係が判明してきており、腸の炎症を促すような食生活(例えば過剰な脂質)は脳にも悪影響を与えると考えられています
逆に青魚に含まれるDHAやEPAは脳の神経を保護する役割があるとされており、脳振盪受傷者や受傷前でも摂取するように推奨されています
教育・安心
脳振盪受傷者は、特にその症状が長期間続いている場合、孤立感や無力感などを感じ、脳振盪から回復への道のりを進むことも躊躇う場合があります
ここでは適切にリハビリを行えば症状は改善すると言う教育や安心感を与えることが大事になります
まとめ
10年前ではスポーツ中に脳振盪を受傷したら数日休んで症状が治ったら徐々に動き出して競技復帰を目指すと言う考えが主流でした
ただ、それでは改善しない選手がいたり、研究によって脳振盪がどのような影響を脳や身体に与えるかもわかってきました
それゆえ、脳振盪に対するリハビリも非常に多様化していますし、現に今回ご紹介したようにリハビリの項目も多岐にわたります
それは脳振盪のリハビリが個人の症状や状態別に行われるべきと言うことも示しており、また1人では全てのリハビリを提供出来ないのでチームを組んで連携して取り組むべきと言うことも示していると感じます
今後は私自身の知識や経験も強化してより良い脳振盪リハビリが提供出来ればいいなと思うのと、それと同時に脳振盪リハビリを行うチームなども編成出来たらと思います
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました
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