こんにちわ、爪川です
今回は「ブルーライトと脳振盪の症状の関係」についての論文をいくつか見ていきたいと思います
ブルーライトで脳振盪の症状緩和!?
はじめに
脳振盪関連の文献を読んでいると、今まで全く知らなかった治療方法や考えに触れる時があります
その1つがは題名にあるように「ブルーライト」で脳振盪後の症状を緩和させる試みです
正確に言うとブルーライトを浴びることで睡眠の質を向上し、それによって脳振盪後の症状の緩和を試みます
ブルーライトを浴びる→睡眠の質の向上→脳振盪後の症状の緩和?
脳振盪を受傷すると「よく眠れない」「寝過ぎてしまう」「日中にぼーとする」などの睡眠に関わる症状も出ることがあります
また、一般の方でも睡眠不足が続けば頭痛や眩暈などの体調不良を訴えますが、もし脳振盪受傷者がそのような睡眠の問題も頭痛などと同時に発生していた場合、睡眠によって得られる脳の休息や回復も遅れることが考えられます
現に中枢神経(脳と脊髄)は睡眠中にグリンパティックシステム(Glymphatic System)という機能によって老廃物の除去が行われていると考えられています
ですので、睡眠の質や量が確保できないことは脳振盪後の症状からの回復を阻害したり、慢性的な症状につながる恐れもあります
睡眠障害に関しては睡眠薬などを服用することで対処も可能ですが、ブルーライトを使用した睡眠に対しての治療法は薬の代替案としての実施も考えられます
ではこのブルーライトとはどのようなものでしょうか
ブルーライトとは?
「ブルーライト」と聞いて最初に思い浮かぶのはパソコンやスマホのブルーライトかもしれません
パソコンやスマホからはブルーライトが発出されており、それには脳の覚醒作用があります。ですので、就寝前にブルーライトを浴びると寝付きが悪くなったり睡眠の質が落ちるとは聞いたことがあります
この「パソコンやスマホからのブルーライト」と研究で使用されている「ブルーライト」は違うことを意味しているのかと最初は思いました
ただ、研究内容などを調べた結果は、どちらも同じブルーライトを意味しています
色には波長があり、人が認識できる色の波長は380nm-780nmと言われています
380nmに近ければ近いほど人の目には青く見え、780nmに近ければ近いほど赤く見えます
一般的にはブルーライトは380nm-500nmあたりに波長のことを指します
では、このブルーライトを用いてどのように脳振盪後の症状の緩和を試みたのでしょうか?
ブルーライトを頭部外傷後に治療として使用した研究
ブルーライトを使用しての脳振盪後の症状の緩和について論文を調べるといくつもの論文が出てきます
多くの場合、被験者は脳振盪(軽度頭部外傷:mild Traumatic Brain Injury)の受傷者で、スポーツ活動で受傷した方もいれば車の事故や転倒でそうなった方もいます
被験者には毎朝30分間ブルーライトを浴びてもらい、比較群には同じ時間をAmber Lightと呼ばれるブルーライトよりも波長の長い光を浴びてもらいます
(どうブルーライトを浴びるのだろうと思ったら、市販で販売されているフィリップ社製の商品を使用している研究もありました。この商品自体も睡眠障害などで使用されているようです。)
そして、毎朝30分間光を浴びることを4-6週間続けます
4-6週間後にブルーライトを浴びたグループとAmber Lightを浴びたグループを比較します(研究によってこの2つの光の他に、全く光を浴びなかったグループとも比較しているものもあります)
結果は、ブルーライトを浴びたグループの方が睡眠の質などの改善が見られたようではあるものの、他の研究では一貫してブルーライトを浴びたグループの症状が良くなったわけではなく、また被験者の数なども少数なので、結論的な事は現時点ではわからないとなっています
ただ、睡眠ではなく抑うつ傾向や疲労感の改善などは睡眠の質よりも一貫して効果が見られているので、ブルーライトを使用しての治療もまだ研究が進めば他のこともわかってくるかもしれません
まとめ
今回のまとめです!
- ブルーライトの使用と脳振盪後の症状の関係を探った研究は多くある
- 被験者は朝にブルーライトを浴びてその効果を検証
- 現状では脳振盪後の症状の緩和に効果的という結論に至ってはいない
- ただ、抑うつ傾向や疲労感の改善などには効果を示す可能性もある
コメント