あけましておめでとうございます
あけましておめでごうとざいます
昨年8月に開設したこのブログものらりくらりと何とか(約)週1更新が出来ています
これもご覧いただいている皆様のおかげです
ありがとうございます
ぜひとも本年もよろしくお願いいたします
はじめに
さて、ブログを書くというのもなかなかカロリーが必要なので2022年最初の記事はシンプルでわかりやすい文献を見ていきたいと思います
今回見ていく文献では「脳振盪受傷者に対してバッファロー脳振盪トレッドミルテストと通常のエアロバイクのテストを実施し比較」しています
バッファロー脳振盪トレッドミルテストとは?
脳振盪を受傷した方は全員ではないですが、運動などで心拍数が上がると症状が悪化しやすい場合があります
そしてどの程度まで心拍数が上がると症状が悪化するのかを調べるのに使われるテストが「バッファロー脳振盪トレッドミルテスト」と言われるものです
このテストは略してBCTT(Buffalo Concussion Treadmill Test)と呼ばれます
やり方や詳細についてはこちらの記事もご覧ください
バッファロー脳振盪トレッドミルテストとVO2Maxを測るバイクテストの互換性
概要
- 被験者男性10名、女性9名
- 年齢(中央値):男性36歳、女性29歳
- 前提条件:被験者全員がスポーツ関連脳振盪(Sports Related Concussion)の診断を受けている
- 受傷から研究までの日数(中央値):男性38.5日、女性39日
- 実験方法:被験者全員はBCTTとバイクテストのどちらも実施。バイクテストはStorer-Davisのサイクリングプロトコル(最大酸素摂取量を測るテスト方法)を採用。その際の最大心拍数や主観的疲労度(RPE6-20)を測定。症状が悪化した場合はどの症状が悪化したかを記録(頭痛、めまい、吐き気など)。被験者はランダムにBCTTを先に実施するグループとバイクテストを先に実施するグループに振り分け。2つのテストの間は48時間あける。BCTTもバイクテストも徐々に強度を上げていき、「①症状が悪化する」、「②症状は悪化せずに疲労困憊になる」のどちらかの状態になった時点で終了
結果
- 19名中、12名がBCTTとバイクテストの両方で症状が悪化した
- 1名はBCTTでは症状が悪化せずに疲労困憊になった。ただし、バイクテストでは症状が悪化した
- 4名はBCTTでは症状が悪化し、バイクテストでは症状が悪化せずに疲労困憊になった
- 2名はBCTTでもバイクテストでも症状が悪化せずに疲労困憊となった
- 最大心拍数(中央値):BCTT 171、バイクテスト 173
- 主観的疲労度(中央値):BCTT 16、バイクテスト 18
- BCTTとバイクテストの両方で症状が悪化した12名の被験者のうち、7名はBCTTとバイクテストではそれぞれ違う症状の悪化が起きた(例:BCTTでは頭痛の悪化、バイクテストではめまいの悪化)
まとめ
- BCTTとバイクテストでは最大心拍数に大きな違いはない
- 悪化する症状はBCTTとバイクテストでは違う場合がある
- BCTTでは症状が悪化しなくてもバイクテストでは悪化する場合もあり、またその逆が起こる場合もある
- BCTTとバイクテストのどちらか一方では症状の悪化がなく、もう一方では症状の悪化があった場合、運動による身体の反応(心拍数の上昇など)以外が症状の悪化に繋がっている可能性がある
- まだ研究段階だが従来からあるようなバイクテストをBCTTの代わりとして実施できる可能性はある
最後に
今回行われたバイクテストのプロトコルは最大酸素摂取量を計測するためのプロトコルではありましたが、BCTTを行った時との最大心拍数との差は大きくならないことが示唆されました
このようなバイクテストは運動科学などを専攻している大学生であれば一度は授業で体験するテストですので、「やったことがない」というのはあまりないかと思います
反対にBCTTはランニングマシンが必要だったり、BCTTの手順も脳振盪リハビリやスポーツ医学を専攻している方でも知ってはいるけどやったことはないという場合があります
金銭的にも信頼のおけるメーカーのランニングマシンだと100万円以上はしますが、エアロバイクでは良いものでも30−40万で購入できます
ですのでもし今回の様な従来からあるバイクを用いたテストがBCTTの代わりに使うことが出来れば、脳振盪受傷者の有酸素能力や最大心拍数を計測する際には利便性が上がる可能性があります
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