はじめに
こんにちわ、爪川です
今回の記事では最近読んだ文献の結果、そしてその結果と脳振盪との関係について考察してみたいと思います
最近読んだ文献はこちら↓
脳振盪は脳の機能を低下させてしまいますが、その機能の1つに自律神経の機能があります
そして自律神経の役割の1つに心拍数や血圧の調整があります
運動中は自然と心拍数や血圧が上がり、運動後はそれらは次第に通常の値に戻っていきますが、これらは全て自律神経の機能のおかげです
上記の文献ではその自律神経の機能とレジスタンストレーニング(スクワット)との関係について調べています
自律神経の機能は心拍変動(HRV)という数値を計測することにより評価し、スクワットは「自体重」のみと「体重の20%」の重りを用いるやり方の2種類を実施しています
そしてこの研究結果としては
①自体重のみでも重さを使った場合でも、スクワット後リカバリー中の自律神経の機能は変わらない
②女性は男性よりもリカバリー中に副交感神経優位の数値を示した
考察
では、上記の結果から脳振盪との関係について考えていきたい思います
まず①の自体重でも20%の重りを使ったスクワットでも、その後の自律神経の機能(心拍変動の数値)は変わらないについてです
負荷の高い運動を行うと当然心拍数や血圧が上がり、運動後はその上がった心拍数や血圧を下げるために自律神経は活発に働く必要があります
ただし、今回の研究では自体重と体重20%の負荷を用いたスクワットでは、その後の自律神経の活動に違いがないことを示しています
ですので、もし健康な成人男女であれば(この研究の被験者は健康で習慣的に運動をしている一般の成人男女です)、上記程度の負荷であればそこまで自律神経が活発にならないと考えられます
ただし、脳振盪を受傷した方の場合は自律神経の機能が低下している場合もあります
スポーツ選手であれば脳振盪受傷後からスポーツ復帰までに有酸素運動やレジスタンストレーニングを行いますが、現在は「何をどの程度出来るようになればレジスタンストレーニングが比較的安全に開始出来る」という指標はありません
ですので上記の研究を踏まえると、もし自体重でのスクワットが実施可能で、そして自律神経の機能が正常に戻っていれば体重20%の重りを用いたスクワットも行えるのではないかという疑問が湧きます(もちろん自律神経の機能以外にも脳振盪による脳機能への影響はありますし、この研究内ではスクワットも一定のリズムで行うという特殊なやり方をしていますので一概に言えません)
そして②の女性の方がリカバリー中に副交感神経優位の値を示したことに関してです
色々な研究で脳振盪は女性の方が受傷リスクが高く且つ症状も長引きやすいと判明しています
基本的には交感神経は血圧や心拍数を上げる際に活発になり、逆に副交感神経は血圧や心拍数を下げる際に活発になります。ただ正確には、血圧や心拍数を上げる際は交感神経が活性化される前に副交感神経が抑制される必要があります
そしてこの血圧を上げる作用は例えば姿勢を変える際にも必要になってきます
寝ている、もしくは座ってい姿勢から立った時にめまいなどの症状が起きるのを「立ちくらみ」と呼びますが、これの原因の1つは姿勢の変化に伴う血圧の変化が追いつかないためです
本来は姿勢の変化と共に交感神経の働きによって血圧が「上がる」必要がありますが、これがうまく機能していないこともめまいなどの症状の原因の1つと考えられます(これらの姿勢の変化と交感神経の関係はVestibulo-Sympathetic ReflexやVestibulo Autonomic Reflexと呼ばれます)
上記の内容と研究結果の女性の方がリカバリー中に副交感神経優位になりやすいことを踏まえると、脳振盪を受傷した女性は交感神経への影響を男性よりも受けやすいのではないかという疑問が湧きます
上記の疑問はあくまで個人の意見に過ぎません
また今回ご紹介した論文も被験者の数(25名)などエビデンスレベルが高いわけではないですが、ここに書いたことも全く見当違いという場合もあるかもしれませんが、今後もこういった考える作業は続けていきた思います
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました
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