※この記事は以前noteに掲載したものです
先日、British Journal of Sports Medicineという著名な学術誌で唾液を用いての脳震盪チェックを行った研究が発表されました
プロラグビーの試合中に脳震盪が疑われた選手の唾液を試合中、試合直後、試合後から36-48時間後の3つのタイミングで採取し、それを健康なプロラグビー選手の唾液と比較しました
ラグビーの試合では(特にプロレベル)、脳震盪の疑いがある選手は一度フィールドから離れて第三者の医師による脳震盪のチェックが行われます。試合中の唾液はこの時に摂取されました
結論から言うと、脳震盪と診断された選手の唾液と健康な選手の唾液を比較すると、small non-coding RNAsという物質に違いが見られました
small non-coding RNAsとはリボ核酸の1種です(正直それ以上は私もよくわかっていません)
32個のsmall non-coding RNAsに違いが見られ、試合後から36-48時間経過後に他との違いが大きかった物質も1つありました
脳震盪は診断や治療にどれくらいの期間が必要かを見定めるのが非常に難しい怪我です
通常のMRIやCTスキャンでは異常な箇所が見られず、患者の症状などから総合的に判断する必要があるからです
アメリカでは血液検査による脳震盪のチェックが行われ始めるようですが、唾液を用いて脳震盪のチェックができるようになるのは非常にスポーツ現場のメディカルにすると心強いのではないかと思います
ただ、今回の文献では唾液の解析のどれくらいの時間がかかるのかの記載はなかったと思うので(上述の血液検査では15分でわかるそうです)、まだ唾液を用いての検査の実用性は遠いのかなというのが率直な感想です
今後も面白い文献などがあればご紹介していきます
最後までお読み頂きましてありがとうございました
参照文献
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