はじめに
こんにちわ、爪川です
以前の記事で脳振盪と起立性低血圧について書きましたが(その記事はこちら)、今回はそれに似た「体位性頻脈症候群」と脳振盪に関しての論文があったのでその紹介と考察をしたいと思います
体位性頻脈症候群(POTS)と脳振盪、考察
まずご紹介する文献はこちら↓
体位性頻脈症候群は英語では“Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome”と呼ばれ、略して“POTS”と言われます
起立性低血圧とは立ち上がった時に血圧が低下していわゆる「立ちくらみ」が起きるような症状ですが、POTSは立ち上がった時に心拍数が上昇することを指します
POTSでは心拍数の上昇と共に、頭痛、吐き気、めまい、腹部痛、四肢のだるさ、疲労感、認知機能低下なども起きる場合があります
血圧や心拍数の調節は自律神経によって自動的に制御されていますが、脳振盪を受傷すると自律神経の機能が低下する場合が多くあります
ある研究ではPOTSと診断された722人の子供のうち11.4%は脳振盪がPOTSを誘発した可能性があるという結果が出ています(参照資料1)
POTSの治療方法としては内服薬や水分や塩分摂取などがありますが、有酸素運動もPOTSの治療方法の1つとしてあります
この有酸素運動はターゲットの心拍数を決めて、その心拍数前後になるように運動を続けていき、次第にターゲット心拍数を上げていくものです
脳振盪のリハビリでもこのような段階的な有酸素運動の有効性は確立されてきていますが、POTSの治療でも行われていることを考えると自律神経の機能改善として有酸素運動は推奨される選択肢だと考えれます
POTSの診断にはTilt Table Test”と呼ばれる検査が実施されますが、スポーツ現場ではTilt Table Testの実施は設備的に難しいので、簡易版として仰向けから立ち上がる様な「姿勢の変化」に伴う心拍数や血圧の変化、症状の増悪などをみるのもあるかと思います
このような姿勢の変化に伴って脳振盪の症状が強くなる、心拍数が上がる、血圧が上がるなどの変化が見られれば自律神経機能の低下を疑い、それに対する処置としてより詳細な検査やリハビリとして有酸素運動の実施などに繋げることも出来るかと思います
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