※この記事は以前blogに掲載したものです
今回ご紹介するのはソフトボールの試合中に脳震盪を受傷したアメリカ人女性の話です
British Journal of Sports Medicineという医学雑誌に載っているので、こちらから無料で原文をご覧いただけます(原文はこちら)
文章は意訳を含み、原文全てを訳しているわけではないのであらかじめご了承ください
”以前にも脳震盪になったことはあったが、今回は違かった
2012年、私は地域のソフトボールリーグで1塁の守備をしていた。ダブルプレーでボールが私に向かって投げられた時に、ボールは私のグローブに当たって私の顔にぶつかった
意識を失うことはなかったが、すぐに気分が悪く混乱した
ただ、その後も試合は続け、試合後も病院には行かなかった
翌日、頭痛やめまい、フラフラするなどのたくさんの症状に悩まされながら車を運転して職場に向かった(どのように運転したかは覚えていない)
同僚が私に話しかけている時も、まるで怒鳴られているかのように聞こえた(脳震盪の症状の1つで”音に敏感になる”という事はその当時は知らなかった)
その日は上司に早退させられ、帰り道に薬局によって薬剤師に症状を話したら、「すぐに救急救命に行け!」と告げられた
ボールが頭にあたってから12時間後になってようやく救急救命室に行き、CTとMRIを撮影し、そこで私は「脳震盪」を受傷したと告げられた
痛み止めの薬を処方され、自宅に帰って安静にし、私のかかりつけ医に相談するように言われた
そして私は脳震盪からの回復に6年かかった
私は2人の脳神経科医、2人の言語療法士、1人の作業療法士、5人の理学療法士に診てもらった
かかりつけ医に紹介してもらった脳神経科医は頭部外傷に精通していなかったので、違う医師を探す必要があった
私のリハビリには言語療法士、理学療法士、作業療法士、神経心理医が関わった
その後新しい言語療法士を探したり、目に多くの問題があると感じていたので神経眼科医にも診てもらった
当時、私の一番の問題は非常に激しい頭痛が1年半程続いていたにも関わらず、理学療法士達は私の首の治療だけをしているように感じたことだった
私は症状ではなく症状の原因を治療して欲しかったので、違う療法士を探した
私が最も良かったと思う理学療法士は、ソフトボールで同様に頭部外傷を負った女性から紹介してもらった人だった
その理学療法士は頭蓋仙骨療法(Craniosacral Therapy)を行っていた
その理学療法士は初回のセッションで私の頭痛の改善に影響があったし、受傷時に私はむち打ちになっていたと教えてくれた最初の療法士でもあった
この脳震盪の前までは私は非常に活動的で、スポーツにしたし仕事も毎日していた
ただ、今はどんな事にも神経質になった
頭痛や疲労が激しく一日中寝ていた
今日は大丈夫と思った時も急にダメになったり、どう調整すればいいのか私は見当もつかなかった
どこに行くにもサングラスと耳栓が必要なことは非常に惨めだった
うまく話すことが出来ないことで私はバカのように感じたし、他人に自分がおかしい事を気づかれている感覚があったのでどんどん人から遠ざかるようになった
どこにも出かけられず、遊びにも行けないので多くの友達を失った
私の仕事は経理だったので多くの数字やPC作業があったが、それらを行うのは難しくて2ヶ月後に医学的に就業不能となった
私の家族は州外に住んでいたので、私の話はニュースで聞くような物の感覚で、すぐに治るだろうと思っていた
そしてそれは非常に孤立感を感じることだった
回復に時間がかかると失うことも多く、他人から見るとそれは些細なことかもしれないが、自分にとってはそれは非常に精神的に負担が大きかった
何か前向きなことをしようと新しい資格に挑戦した
2014年に「ライフコーチ」という資格を取得した
ひどい症状は残っていたものの、資格過程の柔軟性やクラスメイトに助けてもらいながらやり遂げることが出来た
現在、私は脳震盪や頭部外傷を負った人たちと共に働いている
今はそのような人達の為の医療的ガイドラインやプロトコルも増えたが、地域の医師や医療従事者の脳震盪に対する知識はあまり変わっていないように感じている
特に私の顧客の多くは大都市には住んでおらず、だいたいは1人のかかりつけ医とひょっとしたら脳神経科医に診てもらう程度だ
そのような顧客は医療従事者から「症状は良くならず、一生この症状が続きます」か「数週間で良くなります」というどちらかしか聞くことはない
本来であれば、どの程度症状が続くのか?、この症状は通常なのか?、どの専門家に診てもらったらいいのか?、等を顧客が医療従事者に聞くべきだが、実際のところそれらの質問を私や同じような頭部外傷を負った経験がある者に聞く
なぜなら、脳震盪を負った顧客が最も信頼出来ると感じるのは医療従事者ではなく同じ経験をした私達と感じているから”
このような体験記は非常に貴重なので、多くの人に脳震盪のことが広まればいいなと思いまとめてみました
お読みいただきましてありがとうございました
参照文献
the big one.pdf
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