はじめに
こんにちわ、爪川です
今回はBritish Journal of Sports Medicine(BJSM)という医学雑誌に載っていたプロサッカーが実施すべき脳振盪対策への提言について見ていきたいと思います
BJSMには”Avoiding a red card: recommendations for a consistent standard of concussion management in professional football (soccer)” という題名で載っています
日本語訳では”レッドカードを避けろ:プロサッカー界での一貫した脳振盪対策の為の提言”という美見です
「一貫した」と記載がありますが、これはサッカーのルールは同じでもそれぞれの国や大会によって若干脳振盪対策が異なるからです
著者たちはプロサッカーは世界的にも認知度が高く、社会的にも金銭的にもリソースが豊富な場合が多く、それゆえに脳振盪対策はサッカー界が模範となるチャンスも責任もあると述べています
論説ではプロサッカー界で一貫して行うべき脳震盪対策として6つの提言がされていますので、ここで簡潔にまとめたいと思います
プロサッカー界で一貫して実施すべき6つの脳振盪対策
脳振盪教育の義務付け
脳振盪に関して選手、スタッフ、審判への教育や啓蒙活動をすることは試合や練習時に早く脳振盪の疑いがある選手を見つけるのに非常に重要です
今のところその様な取り組みを強制的に行っているのはアメリカのMajor League Soccerと、2019年にフランスで行われたFIFA Women’s World Cup 2019です
教育セッションはメディカルスタッフによって毎年行われるべきです
”疑いがあればアウト”の徹底
脳振盪の疑いがある全ての選手はすぐさまフィールド上でチェックを受けるべきです
もしオンフィールドでのチェックで脳振盪の疑いが晴れなければ、フィールドからすぐに出てより詳細なチェックを受けるべきです
ビデオチェックやスポッターの活用
サッカーの試合ではサイドラインからでは選手が遠かったり、プレイが見えにくかったりしてコーチやメディカルスタッフが脳振盪の疑いがある選手を見つけるのに遅れる場合があります
それゆえ、サイドラインとは別に試合をテレビ画面越しにチェックし、脳振盪の疑いがある選手を早期に見つけ出すなどの工夫が必要です
また、激しい衝突が起きた際などは、たとえ選手がすぐに起き上がったとしても一瞬気を失っているなど、脳振盪を疑わせる仕草をする時もあります
その様な場合はフィールド上では確認出来ないので、その場面をすぐさまビデオで確認できる様な体制も必要です
また、その様に脳振盪の疑いがある選手がいないか敵味方関係なくチェックする役割の「スポッター」も必要になります
脳振盪チェックの為の時間の確保とその為のルール変更
現行のルールではメディカルスタッフはフィールド上で選手をチェックするのに3分間して与えられていません
脳振盪かどうかをチェックするには最低でも10分間は必要とされており、さらにフィールド上では周囲の環境などにより正確な脳振盪チェックも難しいです
それゆえ、脳振盪の疑いがある選手はフィールド外の静かな場所で適切なチェックを受ける必要があります
また、その様な場合に選手の交代枠とは別に、一時的な脳振盪チェックの為の交代として扱うことで、通常の交代枠とは別の扱いにするなどの取り組みが必要です
これらをことを可能にする為にも、現状のルール変更が必要です
試合復帰までの時間
脳振盪と診断された場合、現状ではサッカーの試合までに復帰するのに最低でも6日間(成人の場合)かけて段階的に運動・認知の強度を上げていくべきとされています
それゆえ、もし週末の試合で脳振盪の診断が下れば、自動的に次週の平日(ミッドウィーク)の試合は出場不可とすべきです
チームドクターによる書面での管理
チームドクターは脳振盪の復帰過程や試合復帰への許可を管理し書面化するべきです
終わりに
今回はプロサッカー界で一貫して実施すべき脳振盪対策の提言をまとめてみました
脳振盪に関しての教育や、試合時のビデオチェック、スポッターの活用など他のスポーツでは既に実施されているものなども含まれています
これは脳振盪対策についてはスポーツは変わっても大事な基本の部分は変わらないということかと思います
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました
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