※この記事は以前noteに掲載したものです
スポーツ中の脳震盪の研究は世界中で盛んに行われていますが、その被験者、対象となる人は基本的に健常者のアスリートで、パラスポーツの選手を対象とした研究はあまり進んでいません
ですがパラスポーツの存在なども認知される様になり、例えば車椅子ラグビーの様な激しいぶつかり合いがあるスポーツも脚光を浴びてきました
スポーツ中の脳震盪は健常者でもパラスポーツアスリートでも起こり得る事なので、その様な方達にも適切な脳震盪の評価を行う必要があります
今回はパラスポーツの中でも車椅子アスリートを対象としたスポーツ中の脳震盪のチェックを行い、健常者との違いや正常な場合の基準値データを取得するために行われた研究をまとめたいと思います(下の写真の論文です)
研究
被験者はある大学のパラアスリートの部活動から21名が参加し、ImPACTテストとバランステスト(WESS: Wheelchair Error Scoring System)を実施。ImPACTテストとは、脳の状態をチェックするために行われるコンピューターテストです。WESSはバランス能力をチェックするテストですが、硬い箇所に座った状態、柔らかいマットの上で座った状態、車椅子でウィリーをした状態をそれぞれ目を開けた状態と目を閉じた状態で20秒間維持します(下の写真参照)
結果
ImPACTテストでは頭痛や目眩などの症状を0−6点で自分で評価しますが(0がなし、6が最悪)、安静時では被験者は健常者と比較してこの症状が高いスコアを示していました
これは拡大解釈すれば、パラアスリートは安静時でも頭痛などの脳震盪が起きたときに起きる症状を抱えている可能性が高いと言うことになります
WESSでは、ウィリーの姿勢を閉眼で行うのが最もミスが多く、次いで多いのは柔らかいマットの上に閉眼で座る姿勢でした
まとめ
今回は脳震盪xパラアスリートという珍しい文献でした。健常者と比べてまだまだデータなども足りずに、脳震盪の評価も工夫を凝らしながら実験をした印象ですが、バランステストのやり方など参考になる部分は大いにありました
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