はじめに
※この記事は以前blogに掲載したものです
スポーツ中の脳振盪は頭や身体への衝撃が脳に伝わることによって起こりますが、その症状は人によって異なり、その種類も様々なものがあります
頭痛、吐き気、めまい、嘔吐、意識消失、フラフラする、光や音に過敏になる、集中できない、首の痛み、頭の圧迫感、何かおかしい等、、、
そして脳振盪の症状が起こるタイミングにも個人差があります
脳振盪は必ずしも頭や身体への衝撃があってすぐに症状が出るわけでもなく、そのような衝撃があったと思われるタイミングよりも時間が経過してから症状が起きる場合もあります
これをDelayed Symptom Onset(DSO:遅発性症状)と表現します
スポーツの試合や練習中に脳振盪が疑われた場合はすぐさま試合や練習から抜ける事が必須ですが、このDSOがある場合はその判断が遅れる可能性があります
それゆえに「脳振盪の症状が遅れて起きる場合もある」と言うことを認知しておくことも大事ですし、実際にはどの程度の患者でDSOが起きているのかを知っておくことも重要です
今回ご紹介する文献は未成年のスポーツ関連脳振盪受傷者を対象として、DSOがどの程度の割合で起きていたのかなどを調べています
スポーツ関連脳振盪:遅発性の症状について
実験方法
・対象はカナダの脳震盪専門のクリニックを受診した152名(20歳未満)のスポーツ関連脳振盪を受傷した選手
・診察や検査の後に、研究者らが受傷のタイミングや症状が発生したタイミングなどに関してのインタビューを選手に実施
・DSOは「受傷したと思われるタイミングより15分以上経過してから起きた症状」と定義
結果
・最終的に144名(平均年齢:14.6歳)の選手を対象として研究が行われた
・144名中、男子88名:女子56名
・144名中、DSOと判断されたのは24名(全体の16.7%)
・24名の内訳は男子15名、女子9名
・DSOの選手の中で受傷したと思われるタイミングで抜けた選手は7/24名(29.2%)、DSOでない選手で受傷したと思われるタイミング後にすぐ抜けた選手は86/120名(71.6%)
・DSOと判断された選手とそうでない選手の間で症状の強さや数、復帰までの期間、男女差などで統計的に有意な差は確認されなかった
まとめ
今回ご紹介した研究では20歳未満のスポーツ関連脳振盪を受傷した選手の16.7%は遅発性に症状が起きていたと報告しています
また、DOSの場合ではその選手をすぐに試合や練習から離脱させたのは7/24名(29.2%)のみという数字も出てきました
これは脳振盪が起きてはいたが、その起きたタイミングで練習や試合を抜けずに競技を続けていたということになります
もちろん、本人にも自覚症状がなく客観的にも脳振盪かどうかはわかりにくい場合もあります
ただ、いわゆるBig Hitや激しいタックルなどの後では、一見脳振盪ではなさそうでも15分以上経過すると症状が出てくる可能性があるということは、怪しければ競技中止もしくは一旦競技から外して様子を見ると言う選択肢が大切になるかと思います
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました
コメント