こんにちわ、爪川です
今回の記事では学生が脳振盪を受傷した後に学校生活に戻っていく時期と早期に復帰した場合の症状の変化を追った研究を見ていこうと思います
脳振盪後の学業への早期復帰:症状への影響
学生がスポーツ等で脳振盪を受傷した際は、リハビリをしてスポーツに復帰していく前に学校生活に戻っていく必要があります
スポーツに復帰することに関して言えば、以前は症状が無くなるまでは運動は推奨されていませんでしたが、現在では受傷後24-48時間程度は脳と身体を休ませ、その後は適切な強度の有酸素運動を始めることが症状の改善に有効と考えられています
つまり、脳振盪後に休ませすぎるのも症状には悪影響と考えられます
これと同じ様に、学校生活への復帰も休ませ過ぎるのは好ましくないのではないかとも予測できます
今回見ていく記事では、学生が脳振盪を受傷してからどの程度の日数で学校生活に戻っているのか、そして早期に学校生活に戻った場合の症状の状態をチェックしています
研究概要
- カナダの9つの救急外来のいずれかを2013年8月から2015年9月までに受診した患者を対象
- 被験者は5-18歳の合計1,630名
- 内訳:5-7歳は283名、8-12歳は700、13-18歳は647名
- 被験者が何日間学校を休んだかを調査
- さらに、早期の学業復帰の日数を2日以内とし、3日以上学校を休んだ患者との脳振盪受傷14日後の症状の変化を比較する
- 日数には土日の数は含めず、夏休みなどの長期休暇に受傷した被験者は研究から除外
- 患者は全て48時間以内に脳振盪を受傷
- 脳振盪の受傷起点はスポーツや運動、転倒がどの年齢群でも95%以上
- 初めて脳振盪を受傷した率:5-7歳は88%、8-12歳は82.9%、13-18歳は65.7%
結果
- 学校を休んだ平均日数:3.74日(土日除く)
- 年齢別:5-7歳は2.61日、8-12歳は3.26日、13-18歳は4.71日
- 早期に学校生活に戻った率: 53.7%
- 年齢別:5-7歳は69.3%、8-12歳は59.3%、13-18歳は40.8%
- 脳振盪受傷14日後の症状と学業への早期復帰の関係
- 8-12歳と13-18歳の被験者では学業に早期復帰したグループの方が症状の平均値が低かった
- 特に8-18歳の被験者では初診時の症状が強く、且つ早期に学業復帰したグループで上記の傾向が見られた
- 8-12歳と13-18歳の被験者では学業に早期復帰したグループの方が症状の平均値が低かった
まとめ
今回のまとめです!
- カナダの調査では脳振盪を受傷した学生は週末を除いて平均3.74日学校を休んでいる
- 学校を休む日数は5-7歳、8-12歳、13-18歳と年齢が高くなるにつれて増える傾向にある
- 学校への早期復帰を2日以内とすると、おおよそ半数の学生が早期に学業に復帰している
- 学業への早期復帰は若い方が高く、年齢が上がるにつれ下がっていく
- 早期に学校へ復帰した8-18歳では脳振盪受傷14日後の症状の平均値が、学業復帰に3日以上かけた学生よりも低くなる傾向が見られた
- 特に初診時の症状が強い8-18歳の学生で早期に学業復帰した場合に、その関係性が見られた
参照資料
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