こんにちわ、爪川です
今回の記事では以下の論文について見ていきます
この論文のタイトルを訳すると「実践的マネジメント:脳振盪を受傷した青少年に対する、段階的運動負荷テストが無い場合の標準化された有酸素運動プログラム」
「何言ってんじゃ?」と思った方は、ぜひこの記事を読んで「なんとなくそうゆう事か」となってもらえれば幸いです👍
脳振盪後のリハビリとしての有酸素運動:運動負荷テストが無い場合の方法
脳振盪後のリハビリとしての有酸素運動の有効性
まず、そもそも「脳振盪をした後は有酸素運動ってしてもいいの?」と思った方。実は、脳振盪後に有酸素運動をした方が回復が早くなると数多くの論文で発表されています
このブログ記事内でも有酸素運動の有効性に関しては記事を多く書いていますので、ぜひそちらもご覧ください
「本当に有酸素運動って脳振盪後からの回復に役立つの?」とまだ思っている方。一旦、ここでは「役立つ!」と思っていただいて、では実際に「有酸素運動を行う!」と言った段階でもまだまだ多くの障壁はあります
例えば、一言で「有酸素運動」と言っても、
- 何分ぐらいやる?
- ジョギングだとしたらどれくらいのスピードでやる?
- きつければ早く治る?
- 全員一律で有酸素運動やっても大丈夫?
こういった疑問を解決するためには「運動負荷テスト」というものが必要になります
有酸素運動の強度設定:運動負荷テストの必要性
運動負荷テストとはシンプルに言えば「どれくらいの運動が出来るか?」を測るテストです
脳振盪後の運動負荷テストと言えば「バッファロー脳振盪トレッドミルテスト」、「バッファロー脳振盪バイクテスト」、最近では「Buffalo Concussion March-in-place Test」なんてのもあります。前者2つに関しての記事も書いていますので、気になる方は以下をご覧ください。
このような「運動負荷テスト」をする事で、脳振盪を受傷した一人一人に対して
- 貴方は有酸素運動をした方がいい、もしくは別のリハビリ・治療を先にした方がいい
- 有酸素運動をするならトレッドミルでのランニングがいい、もしくはステーショナリーバイクを使用してのバイクがいい
- 有酸素運動をする場合は〇〇ぐらいの心拍数になるぐらいのキツさ(強度)から始めた方がいい
- 〇〇ぐらいの心拍数で□□分ぐらいから始めた方がいい
- 有酸素運動中に脳振盪の症状が悪化したら、⚫️⚫️ぐらいであればそのまま続けてみて、🔳🔳になったらやめた方がいい
上記のようなことがわかります
それゆえに運動負荷テストというのは脳振盪後の有酸素運動を行うには非常に重要なのですが、そのようなリソース(設備、人員、知識等)が無い現場というのも存在します
そう言った場合に備えて、運動負荷テストが出来ない場合の有酸素運動に関して書かれたものが今回の論文になります
運動負荷テストが無い場合の方法
結論から言うと、運動負荷テストが出来ない場合の推奨される有酸素運動の内容は以下となります
- 対象:脳振盪受傷から28日以内の13-18歳の男女(脳振盪以外の心血管系、前庭系、整形外科系的禁忌がない患者)
- 有酸素運動の種目:トレッドミルやステーショナリーバイクなど(脳振盪後では頭が揺れると症状が出たり、反応/反射時間が遅くなる場合もあるため、屋外でのランニングやバイクなどの更なる怪我に繋がるリスクが高い種目は避ける)
- 時間:1回約20分、1週間で約100分(毎回ウォームアップとクールダウンを20分間の運動前後に入れる)
- 強度
男性 | ターゲット心拍数 |
1週目 | 116-119 |
2週目 | 124-127 |
3週目 | 132-135 |
4週目 | 141-144 |
女性 | ターゲット心拍数 |
1週目 | 123-126 |
2週目 | 131-134 |
3週目 | 140-143 |
4週目 | 147-150 |
その他①:運動時の脳振盪の症状が10段階で2点以上悪化した場合は中止する(例:運動前の頭痛1点、運動中に頭痛3点に悪化)。翌日、その症状が改善していた場合は運動を再開する。翌日以降も症状が改善しない、もしくは10段階で8点以上悪化する場合は医療従事者に連絡する。
その他②:脳振盪受傷後から週に1回は医療従事者と対面やオンラインでチェックしてもい、脳振盪からの回復具合などを判断する。
上記が推奨事項となります
これらはあくまで推奨事項なので、本来は医療従事者管理の元で運動負荷テストを行い、その結果に基づいた有酸素運動を行う方が好ましいです
ただ、リソース的に日本ではまだそこまでキッチリと行う施設は数えるほどしかないので、上記の推奨事項が参考になれば幸いです
また、このような脳振盪後のリハビリ・治療の一環の有酸素運動も、まずは医師の診察・診断が最優先です。ですので、スポーツをしていて頭が揺れた/頭を打った、その後から調子がおかしい場合は、まずは病院での診察・検査が第一歩です
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